学会でも認められた、日本の新しい障がい者雇用の形“ダイヤモンドダイニングモデル”2018年に向けて、障がい者手帳所持従業員に、就労からキャリア形成・マネージメントまで一任、自立して行っていく支援と協力体制を確立!
日本経済新聞 2013,3,21
「精神障がい者雇用、18年4月義務化 改正法案提出へ(厚労省)」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG21016_R20C13A3000000/
現在、企業の障がい者雇用は身体障がい者と知的障がい者の雇用が中心でありますが、2018年4月から精神障がい者の雇用義務化に伴い、精神障がい者の雇用に対する機運は高まってくることが予想されます。
そのような中、2012年から取り組み始めた医療機関・障がい者雇用就労機関・企業(ダイヤモンドダイニング)と三位一体となったプロジェクトチームの活動を提案するため、平成26年11月1日(土)に「アイーナいわて県民情報交流センター(岩手県盛岡市)」で執り行われました「日本精神障がい者リハビリテーション学会 第22回いわて大会」に参加。
当社の障がい者雇用管理が「日本の新しい障がい者雇用モデル」として発表されました。
[IRリリース]当社の障がい者雇用モデルの学会発表に関するお知らせ
【当社の障がい者雇用“ダイヤモンドダイニングモデル”とは? 】
障がい者雇用における責任者は健常者である従業員を配置することが通例となっておりますが、
当社は、 「ピアサポート」「ピアカウンセリング」の考え方を重要視しており、障がい者雇用における責任者を障がい者手帳を所持している従業員としております。
また、同従業員(責任者)に人事評価制度構築および運用、カウンセリング(面談)等の人事雇用管理、公共職業安定所および各種支援機関からの応募受付、面接、採否決定等の採用管理、導入研修や教育等の人材育成、各種助成金申請管理、予算実績管理等を一任しております。
責任者である従業員は、第2号ジョブコーチを取得しております。
<第2号ジョブコーチとは>
障がい者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチであり、独立行政法人高齢・障害者・求職者雇用支援機構が実施する第2号職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める第2号職場適応援助者養成研修を修了した者であって、必要な相当程度の経験及び能力を有すると認められる。
今回は、 “ダイヤモンドダイニングモデル”のプロジェクトを進めている当社人事総務部の森田氏、実際に障がい者手帳を持ちながら当社の正社員として働いている本プロジェクトリーダー中川氏のインタビューを、関係者2名(医療の立場からサポートしている就労支援機関・精神障がい者の雇用全般をコンサルティングしている株式会社IVOOの沖野氏)の意見も交えながらレポートとして紹介します。
[企業からの視点]ー遅れていた障がい者雇用の現状。ノウハウがない中で企業としてどうすべきかを相談し、柔軟な受け入れ体制作りを実施ー
Q今回の障がい者雇用プロジェクト開始までの経緯を教えてください。
2012年10月頃からこのプロジェクトをスタートしたのですが、それまでは正直会社として障がい者雇用への取り組みは全く行えていない状況でした。障がい者雇用が企業内で浸透していなく、障がい者従業員受け入れ経験が無いということから、障がい者従業員の定着が見込めないため、沖野氏に相談したことがきっかけです。(写真右下)
「社内的な成果を上げるにはどうしたらよいのか?」
「社内的な理解を得るためには?」
「指示はできるのか?」
「管理専門の健常者を雇い入れての管理が必要か?」
などの業務内の話の他に
「症状をどうすればよいか」
「業務外で問題が発生した場合どうすればよいか」
「ちゃんと会社に来てくれるか」
など漠然とした不安が残る中、医療機関とのパイプ役もしていただきながら、プロジェクトに参加していただきました。
2013年1月に、清掃チームを立ち上げ、4名の採用を実施し、1チーム目を稼働させました。順調に稼働し、清掃自体の成果も出てきたため、同年3月ころには社内の認知も深まっていきました。4月にはスタッフを増員し、8月にも採用を実施。現在では、スタッフは27名(精神24名・知的3名)にまで増えました。
Q:なぜ、清掃なのですか?
飲食店で重要なのは「QSC」と言われています。
飲食店繁盛のポイントは、QSCを向上させることです。
多くの飲食店がQSCと言うので、「Q」(品質)が最も大切でその次がサービス、最後がクレンリネスであると錯覚しがちです。初めて飲食店を選ぶときには、試食をすることができませんので、Qはそのお店をリピートするかどうかを決める指標なのです。「S」(サービス)も店舗に入って注文するまでレベルがわかりません。初めての飲食店を選ぶ基準は、店舗の外観や雰囲気しかないのです。家族でレストランを選ぶときは、多くの場合、女性が決定権を持っています。
その基準の第一に挙げられるのが、クレンリネスです。初めての店舗は店舗の外観、店内の清潔さなどで選定します。
つまり、店舗を選ぶ基準は「C→S→Q」の順番となるのです。
実際に、消費者調査では、飲食店を選ぶ際に「店内の清潔さ」を重視する割合は86.0% 「トイレの清潔さ」を重視する割合は78.4% となっており、女性や年齢が高い方ほど「清潔さ」を重視することがわかっています。
清掃業務は飲食企業にとって、重要視すべき業務であることから清掃業務からスタートしようということになりました。
Q.企業として、どのようにこのプロジェクトを実現させたのですか?
実務部分はプロジェクトリーダーである中川さんで、私は会社としてのハンドリング、フォローだけです。
このプロジェクトをもっと強化拡大し、整備していく役割を担っています。
このプロジェクトは会社にとって非常に有益なこととしてとらえております。
ですから、社内理解を進めてもらいながら、協力し合って受け入れ体制を作っていけるかが重要だと思っています。
「仕事をしてた人が何かのきっかけで障がい者手帳を持つことになった」
そうした場合、精神障がいに関しては最近医療の発達により1年弱で社会復帰ができる状態まで回復するケースが増えてきた為、ブランクが短い。人材的にも非常に優秀な方がいます。
そういう人たちに活躍の場を提供し、こちらとしても会社の財産として確保できるような体制を作り、外部に対して魅力を発信していくことが使命だと考えています。
Q.今後のビジョンなどはどうお考えですか?
障がい者雇用率が上がっていく中で、障がい者の組織を維持向上させていくキーパーソンに外部から来てもらうことはマストになってくると思いますので、このプロジェクト自体は継続し、今後もさらに注力していくつもりです。
時給のアップだけではなく、本人の経済的自立までしっかりと示していく、魅力的なキャリアビジョンを策定することで、長期雇用に結び付けていく必要があると考えています。
[障がい者雇用支援機関・医療関係者の視点から]-日本の新しい障がい者雇用モデルの提案-
Q現在の障がい者雇用の課題とは?
今まで障がい者雇用支援をしていく中で、「従業員のスキルがバラバラ」「雇用管理者やリーダーは健常者が多い」「支援機関によって支援の内容が違う」「キャリアプランが確立できていないため将来性が見いだせず転職してしまう」などの課題がありました。
そこで、就労支援をしていく中で感じた現在の障がい者雇用をとりまく課題を踏まえて形にできれば新しいモデルができるのではないか、また、新しい障がい者雇用のカタチを提案し、実現させることで同時に企業価値も高めることができるのではないかと考えました。
課題のクリアには以下のような提案をしました。
■従業員のスキル(作業の質を一定化する)…各店舗毎の採用ではなく旗艦店となる場所でチーム(複数人)で就労させ、スキルの共有、安定化を図る。
■チームリーダーに関して…これまでは基本健常者が行っていたが、人事権も含めて、リーダーも手帳所有者で行う
■支援機関の支援のムラをなくす…仕事中の従業員のフォローは企業側が行い、支援機関は生活の支援を行う。
■キャリアプランの確立…賃金テーブルと昇給昇進の基準を明確にする。
また、清掃に関しては、あくまでも入り口としてとらえ、本人の希望、がんばり、スキルによって様々な業務へジョブローテーションすることが重要だと考えています。希望者が最初の仕事で終わらないように考えていくこと、正社員登用への道も明確にしていくことを考えています。
日本において、障がい者雇用の実績は世界に比べるとまだまだ低いものの、今後グローバルスタンダードに従って増加していくことが予想されます。
OECD主要加盟国における障害者雇用・職業リハビリテーション対策の動向
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/rehab/r064/r064_036.html
世界の流れを基準に考えても、今まさに企業は障がい者雇用に関しての受入体制作りが求められており、多くのモデルケースの実績を重ね、働きやすい環境づくりへの取り組みをしていくことが急務だといえます。
[障がい者の視点から]-実績と成果、そしてキャリアと未来の創造へ-
Q.もともと、中川さんご自身は障がい者として手帳をお持ちなんでしょうか?
はい。私自身が、精神障がい者の障がい者手帳を持っていますし、他の就労しているスタッフも全員障がい者として手帳を持っています。
Q.最初のきっかけは?
障がい者雇用率が基準に達していないということで、まず最初はダイヤモンドダイニングから就労支援機関(障がい者の社会復帰を支援する機関)に相談がありました。私はその就労支援機関を通して本プロジェクト推進の依頼があり、スタートしたプロジェクトとなります。
Q:一般的なイメージでいうと、仕事をする上で、障がいを抱えながらの業務は、当事者も企業側も双方で不安があったりするのではないかと思いますがいかがでしょうか?
障がい者側の不安としては、やはり障がいの波があったりするスタッフもいるので、障がいとの付き合い方に不安を持つ方が多いのではないかと思います。
ダイヤモンドダイニングの清掃チームが他と違うのは障がいに対して理解があるということです。運営含めて、当事者同士の集まりなので、「安心感」があるというのが一番ではないでしょうか?
スタッフ間同志も仲がいいんですよ。連絡も個別にメールの交換などをしてコミュニケーションを図っていたりしますよ。自分が何か迷惑をかけてしまっても、そこに対して周りが理解を示すことができる。支え合えるコミュニティづくりができているということですね。単なる支え合いのコミュニティではなく、働くということで一緒に社会貢献をし、自立をして生活していくというのはとても理想的なカタチです。
また、精神障がいを抱えている者は、身体障がい者の方よりも見た目的には障がい者とわからない部分があります。
健常者として見られ、障がいへの配慮というのはなかなか難しかったりします。健常者である状態で会社に在籍している時に発症し、クリニックや病院に通院し、手帳を交付されることになった場合に、自分は障がい者だとオープンにして、働く方が楽だという人も多く、病状管理をしながら、働き方を考えている人に選択肢の一つを会社から提案できるというのは、とっても素晴らしいことだと考えています。
また企業側が抱える不安としては、障がいを抱えている従業員に対してきちんと管理ができるのかといったことがあげられると思いますが、ダイヤモンドダイニングモデルにおいては、私のように責任者は第2号ジョブコーチを取得して、障がいへの理解を示しながら従業員の管理を行います。
従業員に対しては、勤務時間から配慮をし、1日4時間からスタートして、だんだん伸ばしていく。難しければ、またペースを戻して働いていくという形で提案してマネージメントしています。
Q.実績や成果に関してはいかがでしょうか?
月次で報告会を行っており、店内の清掃前清掃後のBefore・Afterの写真報告や雇用状況、現在の進捗と今後のスケジュールなどを共有しています。
その結果、清掃のクオリティの高さから営業の現場からもっと活用したいとの声が高まり、10月から清掃する店舗を増やすことができました。このようなことから清掃のプロ集団としての社内ニーズはだんだん高まっていると言えると思います。
<現在の清掃店舗一覧>
■キリストンカフェ東京(新宿)
■京町恋しぐれ(新宿)
■戦国武勇伝(新宿)
■MAIMON GINZA(銀座)
Q.今後のビジョンはどのようにお考えでしょうか?
店舗の拡大に伴い雇用も増えますので、まずは人材育成が最優先です。
一人ひとり、しっかりケアをしながら、清掃のスキルアップをし、組織を強化していく。
精度を高めるために、清掃マニュアル、そして、障がい者アルバイトの評価制度ガイドラインを作成しています。
清掃という仕事に対して、プロとして発展的にキャリア形成していけるようにきちんと評価をし、リーダーを育てていきたいですね。
将来的には、飲食店の清掃のプロ集団として外部企業等の注文を受け入れることで、収益をあげることができれば、ますます会社への貢献・社会への貢献になると思っています。
そのため、障がい者の就労支援に関わる方々へ実際に清掃の現場をみていただきながら、会社説明会を実施しています。
冒頭にもあった通り、2018年4月から精神障がい者の雇用が義務化となり、今後精神障がい者の雇用に対する機運は高まってくることが予想されます。
ダイヤモンドダイニングではこの新しい障がい者雇用のモデルをさらに発展をさせ、実績を積み重ね、医療機関・障がい者就労支援機関と共に、広く同モデルを提案して参ります。
今後も引き続き、健常者・障がい者を差別することなく、誰もが職業を通して社会参加出来る共生企業としてまい進していく所存でありますので引き続き、ご指導・ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
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